公開シンポジウム

『野生鳥類と高病原性鳥インフルエンザ:大規模感染に立ち向かう』

日時: 2024年9月16日(月・祝)9時45分~12時30分
場所: 中央大学後楽園キャンパス 5号館5534教室(東京都文京区春日1丁目13-27) 
参加費:無料
後援: 農林水産省
コーディネーター: 森口紗千子(日本獣医生命科学大学),牛根奈々(山口大学)
※事前予約不要,先着500名(9:15より開場・受付開始) ハイブリッド開催(Zoom配信)
※オンライン視聴は、こちらから参加登録してください
※会場(5534教室)、お子様連れ参加者用の休憩室(5533教室)は飲食可( 休憩室の詳細は託児サービスのページをご覧ください)


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 世界中で猛威を振るっている高病原性鳥インフルエンザ(HPAI)は,野生鳥類や家きん,動物園等の飼養鳥に多大な被害を及ぼしています.日本では,2000年代から断続的にHPAIが発生していましたが,2020年より4年連続で発生が続いています.野生鳥類ではツル類やカラス類が大規模感染し,現地の関係者は対応に追われました.HPAIウイルスは,カモ類などの渡り鳥が運んでいると考えられており,野生鳥類に関わる人々は,HPAIに感染した鳥と接する機会も増えていることが予想されます.また,国内における野生鳥類のHPAI検査は,主に回収された死亡鳥等の検体で実施されており,一般市民からの通報に支えられています.いつ,どこでHPAIが発生してもおかしくない状況にある中で,今一度HPAIを知り,いざHPAIが疑われる鳥類がいたときにどうすればよいのか,感染を広げないために私たちにできることは何か考えてみませんか.皆様のご参加をお待ちしております.

プログラム
9:15
 開場・受付開始【オンライン視聴 参加登録】

9:45-9:50
1.趣旨説明:野生鳥類と高病原性鳥インフルエンザ 
   森口紗千子(日本獣医生命科学大学),牛根奈々(山口大学)

9:50-10:20
2.「H5亜型高病原性鳥インフルエンザウイルスの基礎」
   迫田義博(北海道大学)
 1996年に中国広東省の家禽においてH5亜型の高病原性鳥インフルエンザウイルスが出現した.家禽における発生に対してウイルスの封じ込めを徹底できなかった国があり,結果として本ウイルスが野鳥に漏れ出し,感染を拡大させることになった.さらに現在,鳥だけではなくヒトを含む様々な哺乳動物からも感染が報告されている.野鳥に対する計画性のない餌付けの禁止や死亡野鳥の回収を率先し,野鳥における感染拡大を少しでも減らす努力を各国が実践すべきである.一方,希少鳥の保護の観点からは,これまでの対症療法に加えて抗ウイルス薬を用いた積極的な治療が可能と考えられる.我々のこれまでの研究成果も踏まえ,ウイルスの現状と対策を紹介したい.

10:20-10:50
3.「野生動物の鶏舎内侵入と高病原性鳥インフルエンザウイルス伝播の可能性」
   山口剛士(鳥取大学)
 高病原性鳥インフルエンザウイルス(HPAIV)の国内への侵入には,カモ類の渡りが主要な役割を果たすと考えられている.一方,国内に持ち込まれたHPAIVの鶏舎内侵入経路については未だ不明な点が多い.演者らは,野生動物によるHPAIV伝播の可能性を検討するため,赤外線センサーカメラを用いた養鶏場での野生動物侵入状況調査および感染実験を行った.その結果,ウインドウレス鶏舎であっても採卵鶏成鶏舎に必須の除糞ベルトや集卵ベルトの鶏舎出口などを利用しイタチやネコなどが頻繁に鶏舎内に侵入していること,またイタチ類がHPAIV感染に感受性であることが示され,これら野生動物によるウイルス伝播の可能性が示された.

10:50-11:10
4.「野生鳥類の生態から考える高病原性鳥インフルエンザ対策」
   森口紗千子(日本獣医生命科学大学)
 野生鳥類の高病原性鳥インフルエンザ(HPAI)検査は,野生鳥類の感染状況を知るためだけでなく,家禽や動物園の飼養鳥をHPAIウイルスから守るための警戒情報としても活用されている.家禽農場でのHPAI発生時には,発生農場周辺で鳥類調査が実施され,農場周辺の環境の把握や衛生対策の検討などに利用されている.野生鳥類のHPAI検査や発生農場周辺での鳥類調査からみえてきた,野生鳥類の生態とHPAI発生との関連性,これらのデータを利用した鳥インフルエンザのリスクマップ,そしてカモ類の追跡と利用環境調査からみえてきたHPAI対策を提案する.最後に,野鳥観察や調査の際に,HPAIウイルスを広げないために気をつけたいポイントを紹介したい.

11:10-11:30
5.「希少鳥類のホットスポット!北海道根室市で発生した高病原性鳥インフルエンザ ~鳥たちのために地域でできることは?~」
   外山雅大(根室市歴史と自然の資料館),古南幸弘(日本野鳥の会),工藤知美(EnVision環境保全事務所)
 2022年1月,北海道東部ではカラス類,ワシ類への高病原性鳥インフルエンザの感染が拡大した.オオワシ,オジロワシの国内有数の越冬地であり,シマフクロウ,タンチョウなどの希少種が生息する根室市でも,多くのハシブトガラスの感染死亡個体が塒地で連続的に回収される事態となった.カラス類からワシ類その他への感染拡大が懸念されたが,行政から共有される情報はごく限られていた.本報告では,そのような中,地域の博物館,NGO,有識者,ボランティアと連携して,感染拡大の要因になり得るカラス類について,集団塒や希少鳥類と接触の多い場所などを調査,抽出し,関係者間での迅速な情報共有,行政への情報提供,対策の提言を行った事例について紹介する.

11:30-11:50
6.「鹿児島県出水市でツル類に発生した高病原性鳥インフルエンザの状況報告」
   原口優子(出水市ツル博物館クレインパークいずみ)
 鹿児島県出水市には絶滅危惧種のナベヅル約13,000羽,マナヅル約3,000羽が渡来する.この数は,世界のナベヅルの約8割,マナヅルは約4割にあたる.こうした集中下での高病原性鳥インフルエンザ発生は種にとって脅威であり,市の基幹産業である養鶏業にも大きな影響がでる.2022年冬高病原性鳥インフルエンザがツル類で発生し,越冬期間中約1,500羽のツル類が死亡した.出水市でツル類に高病原性鳥インフルエンザが発生したのは6回目であったが,過去と比べ死亡数が多く陽性率も高かった.今後このような大量死を伴う高病原性鳥インフルエンザ発生の予防や対応策の手掛かりを得るために,2022年~2023年の発生状況を報告する.

11:50-12:00
休憩

12:00-12:30
7.総合討論
コメンテーター:樋口広芳(慶應義塾大学), 金井裕(日本野鳥の会), 唯野剛史(農林水産省), 木富正裕(環境省)


会場

中央大学後楽園キャンパス 5号館5534教室

 

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後 援



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公益社団法人全国高等学校文化連盟

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